前に書いたアパート・マンションの建築構造と防音の記事がほんの少し評判良かったので、もうちょっと詳しいことを経験も踏まえて徒然なるままに書いてみたいと思います。
※カテゴリを作りました→「賃貸アパ・マンの防音」

こうした情報については体系的にまとめた情報がなかなか見つけにくいので参考にはなるかと思います。

ただなにぶん建築の専門家ではありませんので、勘違いや誤記などあるかもしれません。お気づきの方は、ぜひご指摘いただきたいと思います。

先の記事では、建築構造による防音性の一般的な目安について書きました。
その中で、防音性については、RC、SRC(鉄筋コンクリート系)>S(鉄骨系)>木造という傾向があることについて触れましたが、これは本当におおよその目安で、壁・床の構造(隣人の生活ぶり、周辺の環境も大きいですが)次第では一概に言えません。

例えば、以前から指摘されていますが「GL工法による遮音性の低下」という問題があります。
GL工法とは壁の内装のやり方の一つですが、主にRC(鉄筋コンクリート造)で使われます。
簡単に言うと、コンクリートの壁にダンゴ状に接着剤を付けて、上から石膏ボード等をくっつけたものです。壁紙・クロスなどの内装材をそのボードの上に貼ります。(このページが分かりやすいかと思います。)
おそらく、コンクリート壁に直接貼るのと比べ、コンクリート結露によるクロスの劣化、カビなどの問題が少ないなどの意味があるのだと思います。

ところが、これをすることによって壁の遮音性が著しく低下するという弊害があることが分かってきています。特に250Hzあたりと2KHzあたりの周波数の音に対して遮音性が低下するようです。これはちょうど人間の声に該当するため、生活騒音筒抜けというケースも報告されています。
コンクリの上からさらに建材を追加してるのに遮音性が落ちるというのは不思議な感じがしますが、要は、太鼓の原理と同じだとのこと。
コンクリの振動に対して、弾力のある接着剤ダンゴで固定されたボードが、太鼓の皮の様な働きをしてしまうため、特にある特定の周波数の音を増幅してしまうのです。

壁一面に太鼓(というか簡易コンクリートマイク)が設置されているようなものですから、大変です。お隣のライフスタイルによっては部屋中にいろんな音が鳴り響きます(もちろん逆も同様です)。
最近では、接着剤ダンゴの配置を工夫して響きにくくしたり、コンクリとボードの間の空間に充填材を入れるなど工夫されている物件もあるようですが、基本的に響きやすい構造ですので要注意です。

見分ける方法は壁を叩いてみること。
あちこち叩いてみてコンコンと響くところ響かないところがあるようでしたらGL工法の可能性が高いです。コンクリートにクロス直貼りの場合は手で叩くとペチッペチッというような音しかしません(コンクリ直接叩いてるようなもんだから当たり前ですが)。正確には大家さんなどに問い合わせるのが一番かと。

これについての完全な対策は、例えばボードを剥がして接着剤ダンゴを取り除き、コンクリとボードの間に防音性のある緩衝材を入れるなど、専門工事が必要となります。たとえばこんな感じの工事になります。が予算も掛かることですし、もちろん大家さんが了解してくれないと話しになりません。

次善の策としては、壁面全体に対して何らかの簡易的な防音対策をする(壁面全体に防音性のあるものを取り付けるなど。太鼓の皮の上に被せものをするイメージですね)か、防音室を設置して防音スペースを確保するなどが考えられます。

<もちろんGL工法が不適切な内装方法だという訳ではありません。ベースになるコンクリートが充分に厚いものであれば、あまり問題ではありません。>

 

 

 

(下の企業リンクは自動で生成される広告リンクです。本記事とは関係ありません)