突然電話して押しかけた私に、親切に応対して蜂蜜の話をいろいろ聞かせてくださったばかりか、採集の現場まで見せてくださった養蜂所さんの名前は「大沼養蜂園」。
三国を拠点にして福井県内を中心に養蜂業を営んでおられる養蜂所さんです。
採集日当日。
天気も良すぎず悪すぎず。絶好の作業日和です。
教えてもらった作業スポットへと向かいます。
採集場があるという国見岳
国見岳の中を走る道路は、福井では知る人ぞ知る「峠」。
以前は腕に覚えのあるその筋の人が走り込んでいたとか。
もちろん覚えのない人もですが。
(人口が人口なので台数も知れてますけど。「頭文字D」の世界とは程遠いです)
今はどうなんでしょうか・・・
私も十何年以上前には何度かお邪魔したことも。
もちろん腕に覚えのない方ですが。
ワインディングロード脇の、とある茂みに足を踏み入れ少し入ると「ムアーン」という無数の羽音が聞こえ採集場が現れます。
写真では分かりづらいですがとんでもない数の蜂が飛び交っています。
蜂の熱気か、温度がここだけ1〜2℃高いような・・・
羽音も相まって、蜂が火事場騒ぎでも起こしているかのような状況です。
もう既に作業は始まっています。
「おはようございます。今日はお世話になります」と顔を出した途端、
「あらー、見事に黒づくめだわねぇ」とのこと。
汚れてもいいようにと着ていった服装が良くなかったらしいです。
「黒は蜂が興奮するからね。刺されるかも知らんね」
ええぇ!
メッシュのジャンパーを貸してもらいました。
「それ着てれば刺されてもその分だけ針が届かんだろからね」
刺されるのは前提ですか・・・(汗)
最初っからご迷惑をかけっぱなしな感じですが、とにかく作業を見せてもらいます。
巣箱の上ブタを外すと、巣の中身が出てきます。
パネル状(グーグル先生によれば「巣枠」というらしいです)のもの、一枚一枚が巣になっています。
これを引き抜いて蜜を絞る模様。
蜜蜂は思ったよりも小さかったです。
もっと大きいと思ってました。
多分マンガの見すぎだと思います。
巣枠を引き抜こうとすると追いすがるように蜂が付いてきます。
丁重にどいていただきます。
びっしりと蜜が詰まった巣枠。
中央下側の黒いところは蜂の子供が入っている巣穴だそうです。
ここからの作業は、蜂が入ってこれないよう蚊帳の中で行います。
蜂は蜜で一杯になって完成した巣穴に蜜ロウ(蜂が作るロウ状の成分。蜜を体内で変質させて作るそうです)でフタをしていきます。
つまり穴のフタは蜂蜜完成の印です。
で、巣穴のフタを削ぎ落とします。
もちろん子どものいる巣穴は避けます。
削ぎ落としたフタにも当然、蜜がいっぱい付いています。
口に入れると新鮮な蜜の甘みがブワーッと・・・
フタを削いだ巣枠を遠心分離機にかけます。
分離機の回転が始まると遠心力によって、巣穴を壊すことなく蜂蜜だけが機械の口から流れ出てきます。漉しながら集めます。
写真で伝わるか分かりませんが、実際に目にするとよだれが出そうな光景です。
ある程度絞った巣枠は大事に巣箱に返します。
巣箱の世話やら花の当てをする代わりに、蜂蜜を蜂と分け合うというギブ・アンド・テイクな関係がここにあります。
今回取れた蜂蜜。
濃い琥珀色。見るからに濃密な感じです。
舐めてみると、強い甘みがありながら、ちょっとハーブっぽい香りとあとくちで、実に清々しい味わいです。
ハーブっぽい香りは、この辺りに群生している「からす山椒」特有のものだそうです。
蜂蜜独特の甘さが苦手、という人もこれは気に入るに違いありません!
今回の蜂蜜の元になっているのは「からす山椒」という木の花蜜。
近くに咲いているからす山椒の花ではせっせと蜜蜂が蜜集めにいそしんでいました。
ご主人の大沼さんにいろいろお話を伺いました。
「インターネットで全国的に売らないか、という話もあるけど、そもそも全国展開とかは考えていないし殆んど断らせてもらっている」
採れる量も限られているし、とにかく大沼さんの仕事をよく分かっているお客さんと顔の見える仕事をしたい、とのことです。
分かるような気がします。
うちも防音カーテンを発表したあと、いろんなネットショップから扱わせてほしい、というオファーがありました。
いろいろ考えたのですが、結局お断りしました。
システムで拡販する、という方法もあるとは思うのですが、「音」の問題は環境・人によって様々です。通常のカーテン販売のルートで、うちの商品の特性をきちんとお客様に説明して販売してもらえるか確信が持てなかったからです。
商売も大事ですが、まずお客さまとの信頼関係を築くことを大事にしていきたいと思っています。
なかなか難しいことではありますが、いつも意識するようにしています。
蜜蜂たちをしばらく見てると、なんだか愛着を感じるようになります。
携帯で写真を撮っていたのですが、「なに?なに?」という感じで画面の上に止まってみたり歩き回ってみたり。しまいには指の上でフンをしてみたり。
(花粉が混じっているのか、黄色くてちょっと粉っぽいです)
蜜蜂は思ったよりも人なつっこく(?)結局刺されることもありませんでした。
帰り際に採集場を振り返って、蜜を採りながら巣の世話をする養蜂園の方と、ブンブン飛び回って蜜を集めるミツバチたちとの姿をあらためて目にしたとき、そこは蜂と人間とが語り合い共生するユートピアのようにすら感じた次第です。
(ご主人には「そんな生易しいもんじゃないよ」と苦笑されることウケアイですが)
採集場一面に置かれた巣箱。左奥のほうでは先代(創業者)が黙々と作業をされています。
時折かくしゃくと場内を見回られ、転がっている蜂の子一匹見逃しません(大事に育てるそうです)。
おん年85歳(!)とのこと。
健康の秘訣はやはり蜂蜜でしょうか。
大変ご厄介になりました。
おかげさまで私の蜂蜜ライフは確保できました(^^)Y。
ありがとうございます&今後ともよろしくお願いします。
やはり自分の口に入れるものは自分で吟味しなくては。
みなさんもお気に入りのハチミツ、探してみてはいかがでしょうか?
案外近くにあるかもしれませんよ。
※今後、お客様ご紹介キャンペーンのプレゼントは、今回の大沼養蜂園さん特製「からす山椒はちみつ」600gにさせて頂こうと思います。(今までの羽二重餅に代えて)
これはまさしく私が自信をもっておすすめする福井の自慢の逸品です。
お受け取りになったお客様は、福井の自然と大沼さんの愛情に育まれた蜂蜜をぜひ味わってみてください!
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