防音カーテンの防音テストに行ってきました。

これは防音カーテンシリーズについて、定期的に行なっているもので、商品ごとに「音響透過損失」というものを測定します。

簡単に言えば、その物質を通して音が伝わる時にどれだけの音が減衰するか、ということを測定し、数値で表します。



測定には下の写真の様な無響音室(上)と残響音室(下)の2つの部屋を組み合わせた「音響特性評価室」を使います。

DVC00006写真(無響音室)
:発泡ウレタンフォームを成型した「くさび」が壁・天井・床一面に付けられた部屋。
人間が歩けるように本当の床から少し上の位置に金網の床が付いています。

つまり部屋に入ると、ちょうど360度全面くさびの中に浮いている格好になります。
声を出しても全く響かないってのはなんだか妙な息苦しさがあります ^^

完全に残響がないので(自由音場)、壁・床・天井がない空間としていろんな実験ができます。
ちなみに部屋の形状・寸法はJIS規格に定められています。




DVC00004写真(残響音室)
:音源が設置されている部屋です。
特にガンガン響く部屋って訳ではありませんが、音量が部屋内で均質になるよう(拡散音場)壁・床の反射性が設定され、かつ部屋全体が五角形の形状になっています(こちらもJIS規格で形状・寸法が定まっています)。






二つの部屋を仕切っている壁に測定する素材を設置します。
DVC00007
残響室と無響室の間の仕切りに「はりつけ」にされた「ソフト音」の姿です ^^







測定スタート。
音源には、全ての周波数の音がほぼ均等に含まれた「ホワイトノイズ」という音を使います。テレビ放送が終わった後の「砂嵐」の音を大きくしたものだと思えば間違いありません。

最初に音源(ホワイトノイズ)側のマイクで音を集音。
次に同じ音を出して素材の向こう側のマイクで集音。
簡単に言えば、これを差し引いたものを定められた計算式で補正したものが音響透過損失というわけです。

DVC00008
私は、福井県の工業技術センターに設置されているものを使用していますが、この「音響特性評価室」は見ての通りかなり大掛かりな設備です。

特に福井の工業技術センターの設備はフルサイズ(同じ構造でスケールを2分の1や3分の1にした小規模なタイプのものもあります。もちろん小さくなるほど測定誤差は大きくなります)。
全国でもそう沢山ある設備ではありません。

防音性の正確な評価には不可欠な、こうした設備が手軽に使える環境にあるってことは本当に有難いです。



ちなみに工業技術センターにこの設備が導入されたのと、時期を同じくして、我々は「防音カーテン」の開発に着手しました。
毎日のように、様々な素材を持ち込んでは、組合せを変えてテストし続けました。
(だからこの設備との付き合いは、今のセンターの担当者の方よりもはるかに長いくらいです)


この設備はスターライトの防音シリーズの生みの親であるといっても過言ではありません。
あの時期にこの設備がセンターに導入されてなければ、今の防音カーテン「ソフト音」はありえませんでした。
そして、そこから枝葉のように開発された他の防音シリーズや防音室、防音シェルターもまた・・・


いつも測定に来るたび、当時のことを思い出して、巡り会わせとは不思議なもんだなぁ・・・と深い感慨を覚えます。