政府がどうやって事態を収束させようとしているか、おそらく国民の40%程度が緩やかに感染して、1人の感染者が何人に感染させるかという数字が1人以下になる状態へ持っていこうとしてるんだと思います。例えば今ドイツが全国民の70%という数字を掲げていますが、日本は生活習慣・社会衛生面等を考慮して40%〜50%位を目安にしているように思います。そのくらい感染者が増えると抗体を持つ人が増えてそれ以上感染者が増えにくくなるという話です。
いわゆる集団免疫という話です。R0とか面倒くさそうな言葉が出てくるやつです。イギリスは集団免疫の獲得を急ぎすぎてやや野放図にしてた結果、こりゃアカンとなりましたが、日本はもうちょっと慎重にスピードをコントロールしてやっていこうとしてるんでしょう。
多くの人は、自粛とかしている間にワクチンが出来て、解決するイメージを持っているかもしれないけど、そんな数か月でワクチンが出来て我々が接種してもらえる状態になるなどということはちょっと考えにくいです。
なので、政府は、経済が破綻しない程度にゆるめつつ、かつ、感染拡大のスピードが上がりすぎて医療崩壊が起きない程度に締めつつ、という舵取りをしながらその状態に持っていこうとしてるんでしょう。こうしたら、国民の行動はこうなるんでないかと予想して、様子を見ながら緩めたり締めたり。
緊急事態宣言を出したり、引っ込めたり、出すと見せかけて出さなかったりとか。そんな精密な芸当が成功するとしたらそれこそ日本くらいだと思います。
あとは、古いタイプのBCGのおかげとか言われている、なぜか他国ほどは死なない感染しない日本人の謎特性。
いろいろと考えると、この事態において日本は世界の中では結構恵まれているように思います。
そうこうしている間に、治療薬がいろいろ出てくれば、拡大のスピードが多少上がっても対応できるようになるんで、今の状態だと収束まで1年以上かかるかもしれませんが、もっと早く収束できるかもしれない。もしかしたら湿度や気温の上昇もプラスに働くかもしれません。

もっと重大な影響がありそうなのは、早晩日本でも臨床化されるであろう抗体検査です。その人の、新型コロナウイルスに対する、免疫獲得状況がわかるようになります。これがわかると感染状況がさらに的確に把握できるようになり、集団免疫戦略上、非常に有利です。そしてしばらくは新型コロナにかからないであろう無敵モードの人が判明するので医療体制などの人員配置が効率化されます。
今は、政府の施策・行動がどっちつかずに見えるかもしれませんが、観測気球的な一手を打ちつつ、反応を見ながら次の手を打っていかなければならないので、当然のことです。
今後、PCR検査を増やしていこうというのも、手綱の締め加減を判断するうえでのデータとして必要だからなのであって(この目的なら一件一件のPCR検査の精度が低くても全体の感染状況を把握するデータとして役に立ちます)、今頃から増やすとは遅すぎるとかいう批判は的外れもいいところです。初期段階で検査数をしぼったことは、軽症者隔離施設の整っていない状況で、医療への負担を減らすうえでも結果的に有効でした。
政府と都知事がギクシャクしているように見えるのも、政府が自治体と連携しながらのこの舵取りが、いかに素早く緻密なすり合わせを必要としているかを物語っているように思います。まさに超高速の拳で語り合ってる状況ですね。
我々にできることは、手洗い・うがいなどの日常での防疫をしっかりして経済コストをかけずに拡大スピードを平坦化すること、集団ヒステリーを起こさないようにしてバランスの取れた社会・経済活動を行うこと、かかった時には徹底的に高齢者・疾患者への感染を防ぐこと、いろいろあります。
これ、うまくいったら、日本は世界中のお手本になるよ。きっと。
そう考えると、この泣くに泣けない状況での、我々一人一人の行動が結果的に世界を救うことになるかもしれないわけで。
なんとも夢のある話だと言えないでしょうか。
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