実例リポート:お寿司屋さんの空調が「サングラスカーテン」で効率激アップ!

(本記事は防音に限らずカーテンの取付の際のご参考になるかと思います)

以前、「学習塾の空調費を節約したいのでサングラスカーテンを施工した事例」をご覧になった福井市内のお寿司屋さんからの引き合いを頂きました。

お座敷のある2階から異常な冷気が降りてきて、暖房効率が悪いので「サングラスカーテン」を検討したいとのことでした。2階が使用されているときは2階にも暖房が効いているのでさほどでもないのですが、新型コロナ自粛の影響でお座敷を使わないときも多いので非常に困っているとのことでした。
現場を確認して施工プランをご提案したところ、即ご発注いただきましたm(_ _)m



「第一章 施工前の実地調査 2階から吹き降ろす冷気」
施工前の現場写真です。2階に臨むこの階段から冷気が降りてきて1階の階段付近が寒くなる、とのこと。
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2月ごろの話なので、先ほどの塾の例とは逆に1階の暖房効率が問題になっていますが、夏になると同様に2階の冷房が効かなくなるということにもなるでしょう。冷気は下に降り、暖気は上に昇ります。

確かに2階から吹き降ろすような冷気を感じます。これでは階段付近の席のお客さんは背中が寒く感じることでしょう。

階段を上がったところ。
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この天井に取り付けることになります。
天井と降り口の構造を見ると、やはり今回もカーブレールのお世話になりそうです
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「第2章 レールの取付け(1) え?下地の桟がない!」
さて、天井の下地桟をさがすのですが全く見当たりません。
電子式の下地センサーでざっと見て感知しないので、
シンワ測定(Shinwa Sokutei) 下地センサー Home 79151
・・・案外役に立たない。まあ価格から言って見当つける程度のものです。


突き刺し式の「下地どこ太」で探すのですが全く見当たらない。


構造上、レールを付けようとしている範囲には桟がほとんど通っていないのでしょう。
つまり天井板(石膏ボード)へのビス止めのみでレールを取り付けることになります。

ボードへのビス止めには「アンカー」と呼ばれるネジを使います
いろんな種類のものが出ていますが、今回は八幡ネジさんの「YAソリッドアンカー」を使用しました。
YAソリッドアンカーA 皿【1セット 12個入】
YAソリッドアンカーA 皿【1セット 12個入】

前回使用した「ボードアンカーG4」でもよかったのですが、取付けそこねるとかなり大きなムダ穴があいてしまうので、大事を取ってスリムタイプの八幡ネジさんの製品を使用しました。お客様の目につくところでもありますので。
下地に止める箇所がなく、全てのビスがボード止めになるので、より安全のため急結剤(セメダイン3000ゴールドという接着剤)とセットになっているものを選びました。

カーブレールは前回同様、TOSOの「リフレ」を使用しました。軟質の樹脂の中に薄い金属性の芯が入っているカーテンレールで、手で自由に曲げられます。



同様の商品で半値以下の中国製のものもたくさんあるのですが、「リフレ」は金属芯の硬さがちょうどよくて思い通りに曲げやすく、また切断がカッターだけでできるのが特長です
仕上がりにこだわりがなければ中国製の安い物でも構わないと思いますが、硬すぎてカーブを付けにくかったり中の芯が錆びてたりと様々な品質のものがあるようなので、レビューをよくチェックしてお求めください。

「第2章 レールの取付け(2) さぁ取り付けていくよ〜♪」

1. まず、仮止めをします。アンカーを使わず直接天井にレールをネジ止めしていきます。この作業はアンカーの下穴あけも兼ねていますので慎重に位置決めをしながら止めていきます。
総長2mを超えると、扱いやすいリフレでもさすがに一人での作業は難しくなってきます。応援を頼んで2人がかりでの作業。一人がビス止めしていく間、もう一人に反対の端を持っててもらうという作業イメージ。

仮止めをしていくと長さも確定しますので、不要部分をカットします。これがリフレだとカッターで樹脂に切り込みを入れて手で何回か曲げるだけでカットできるので楽なのです。

2. 仮止めが終わったら、いったんレールを外して、あいたネジ穴にアンカーを取り付けます。
そして
3. アンカーに接着剤を注入してレールをビス止めしていきます。



というわけで取付完了。
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もしムダ穴をあけてしまったところがあれば、ウッドパテで埋めて塗装します。
s-22157273_482616038776520_8377711869833510912_n1パテは少量でいいので100均のもので充分です。
s-32558866_427360084379081_1405496556915785728_nクレヨン的に使える塗装剤です。これも100均。




確定したレールの長さを測って本日の作業終了です。
レールの長さが確定してはじめて正確な幅が決まるのでようやく製品の縫製に入れます。



「第3章 カーテンを吊る 1階に吸い込まれるカーテンの謎」

後日、仕上がった「サングラスカーテン」を持って取り付けに伺いました。
当たり前ですが巾ぴったり。丈も、擦るか擦らないかという絶妙な長さに仕上がっています。

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と、ここで問題が発生!

写真ではちょっと分かりにくいのですが、なぜか1階の方へ向けてカーテンの裾(スソ)が吸い込まれるように流れて、床とカーテンの間に大きな隙間が空いてしまうのです。
なにこの風!?
正面から大型扇風機で風を当てているかのように、カーテン全体が奥へと流れていくのです。

しかし2階はその時は空調すら切ってあり、風が吹きつける要素がありません。
これでは冷気を遮断する効果が半減してしまいます。急遽、お店の方を呼んでミーティング

いろいろと検証した結果、どうも1階の厨房の換気装置のせいでは?という話になり、試しに換気装置を切ってもらいました。

凪だよ・・・というか流れが完全に止まってカーテンはまっすぐになりました。

どうも厨房の大型の換気装置が、2階から1階への空気の流れを完全に牛耳っていたのですね。
業務用の装置ってすごいね。

そもそもの2階から吹き降ろす冷気も、2階から降りてきていたのではなく1階厨房の換気装置が強力に引き込んでいたものだったのです。

カーテン裾に縫い込むウェイト(おもり)での対処を考えましたが、風力を考えると期待できる効果がコストのわりに微妙なので、サービスとして対応できる範囲でもっと直接的な方法をと考えました。
3日間くらい考えてました。


最終章 結論。 裾に、おもりをクリップで止めればいいんじゃない?」

で、実際にサービスでご提供したのがこれ。
自家製クリップ式カーテンウェイトです。
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作り方は、100均とかで売っている大きめの洗濯クリップにおもりを結束バンドで止めるだけ。
今回のおもりは単1乾電池を白い布テープで巻いたものです(見た目&絶縁)。
読書用のブックストッパーを参考にして作りました。

ブックストッパーにも使えます(^^;)買うと1000円くらいするみたいです。

ブックストッパー 白
・・・本作業には直接関係ありませんが参考にしたブックストッパーです









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洗濯クリップは止める力がそれほど強くないので、カーテンを引いても外れるだけ。つられて落ちてきたりしません。そういうところもグッドです。
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というわけで、さまざまな紆余曲折を経て納品が完了したのでした。




今回ご採用頂いたお寿司屋さん(ありがとうございました)
「寿し割烹 八重」

福井県福井市順化2丁目24-21
TEL 0776-26-6431s-yaesusi

気鋭の若大将は気さくで、こちらの気持ちを汲みながら、その日その日のおすすめのネタをリーズナブルな価格で出してくれます。(でも実は結構がんこ気質のこだわり派だったりします。)